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「まあ、君が話に乗ってくるようなら、味見ぐらいはするつもりだったが……」
新井が、わざとらしく視線を胸元へと向ける。
シャツの前身ごろをぎゅっと抱きしめた。
無駄に色気があったといわれても、自分には思い当たる節がない。
むしろメイクは剥げてノーメイクみたいな状況で身につけている白いブラウスは朝方替えたものの、深夜残業のせいでくたくただ。
そんな私に色気などあるものか。
ゲーム終了の宣言を受けて、新井から手を離した。
ずっと力一杯握りしめていたせいで、指先が麻痺したようにジンジンと鈍く傷む。
「数々の非礼は詫びる。少々調子に乗ってしまった」
ははっと新井は笑ったが、
ジョークでここまで女を辱めることをするだろうか。
「調子に乗りすぎたという話では、済まされない、と思うのですが」
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