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急遽訪れた、期間を定めない休演。
休演7日目にして、ショースペースのストライキは、世間へと知られることとなった。
マスコミを押さえ込もうにも、SNSが発信する個々のニュースに対応することは困難である。
SSとダンサーの問題は、今やショービジネス社会に問題として世間で論争されるほどに重大化している。
「これ以上、ショースペースの評判が落ちたら、こちらの計画が狂うからな」
イラついたように新井は言った。
これはカンパニーとダンサーの問題だといえど、乾はSSの演出家としてクレジットに刻まれている。
オーナー側が、問題のある関係者として名が売れてしまった乾を避ける可能性も無きにしも非ずだ。
「火が小さいうちに消火しないと、ウチも燃えることになりかねない」
「それで変更したのね」
「当然だ。俺を誰だと思ってる?」
「サンライズドリンクのお坊ちゃん社長」
「……っち」
舌打ちをしてウイスキーのシングルを、彼はグイッと飲み干した。
氷山のように大きな氷が薄いグラスを打ち付けて、気持ちの良い音色を立てる。
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