BOYS

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「あー、明日とかにしません?」 「今から行きたい。付き合えや、好きやないん、俺のこと」 先輩がからかって言う。 やめて欲しい。冗談で言われるのも辛い。 「えー、うーん」俺はあやふやと返事をした。 「俺もサトルのこと好きやけん誘いよるのにぃ、」 頭を殴られたかと思った。 思い切り顔を上げると、平然とした先輩がこちらを見ていた。 「あ、かわいい後輩としてな」 ですよねーーーー! 気持ちの落差を秋風がさらう。冷えた汗に身震いをした。 みっともなかろうが、好きなのだ。 トンボをフェンスに引っ掛けて、先輩へ近付く。
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