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異星人ゴーホーム
ある国のある場所に建つ一軒の小屋で。
「やれやれ、わしの仕事も順調だが、いささか飽きてきたのは贅沢というものか」
老人は疲れたようにため息をつきながら、窓から夜空を見上げてつぶやいた。
その夜空の一角にキラリと星が光ると、またたく間に小屋に近づいてきた。
「あれはなんだ?」
老人が首をかしげている間に、その光る物体は小屋のそばに着陸した。それは奇妙なカタチをした宇宙船だった。
「こんな物ははじめて見るが、これが異星人の乗り物か」
老人が驚いていると、宇宙船から何かが降りてきた。
「はじめまして。この国は長らく戦争がなく、平和が続いていると聞きましたが本当ですか?」
緑色をした小さな異星人が、吃驚している老人に訊いた。
「それは本当です。この国は戦争に敗れたことによって、平和の尊さを重んじ他国から尊敬されているのです」
「それは奇跡のような国ですね。まさしく我々が探し求めていたものだ」
「と言いますと?」
「お恥ずかしい話ですが、我々の属する宇宙連合は長らく争いが絶えていません。
もう争うのに疲れました。つきましては、この国の奇跡の平和を学びに来たのです」
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