第1章

2/8
前へ
/10ページ
次へ
 名取成美はウキウキしながら、段ボールの片付けをしていた。 (とうとう、この日が来たんだわ)  新居探しを初めて1年。夫がようやく希望通りのマンションを購入してくれた。それも最上階の角部屋で、マンション内でも一番値段の高い部屋だ。  会社経営をしている夫の隆が仕事を頑張ってくれたから、この素敵な部屋を手に入れる事ができた。  部屋の家具もカーテンもインテリアも君の好きにしていいと言われ、専門家のアドバイスを貰いながら全部自分の思う通りにできた。  隆にはいろんなことで感謝しても感謝しきれない。  成美は愛される幸せをかみしめながら引っ越しの片付けをすませていると、隆が仕事から帰宅した。  室内を見回しながら、「次は俺たちの子どもを迎えたいね。それでこのマンションでのびのびと育てよう」と言った。 「このマンションなら、きっと楽しく子育てできるわ。あなた、ありがとう」  成美はすでに30代半ば。簡単に妊娠できるとは思っていない。  夫の期待にこたえるように成美は不妊治療に励み、妊娠によい食事を作り、体力づくりでヨガに通って妊活に全力を注いだ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加