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ある日また隣から、『オギャア! オギャア!』と泣き声が聞こえた。それが朝に晩に一日中終わらない。
「もう! うるさいわね!」
本物の赤ん坊なら我慢するが、あれは録音の再生。
ボリュームを嫌がらせのように最大にしていると思うと、成美はイライラした。
病気ばかりする息子の世話や、仕事が忙しくてなかなか帰ってこない隆に成美は疲れていた。
本当は関わらない方がいいのだが、ある日、あまりに隣がうるさかったのでとうとう一言注意をしてやろうと成美は隣を訪ねた。
「中井さん、隣の名取です」
つい口調もきつくなる。
ドアが開いて、沙良が泣いている赤ん坊を抱いて出てきた。
その腕に抱かれた赤ん坊を見た成美は二度目の驚きとなった。
今度は本物の人間の赤ん坊だった。男の子だ。
「え? 本物?」
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