1.人魚姫の夢物語

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元々、飛鳥が居る時の俺の口数は少ない。 リア充に緊張してんのかと井川がからかってきたりしていたから、今のもそんなもんだと思っているだろう。 俺もいつものが悪化したものだと、そう思った。 なのに再び3人で会話を再開させようとした時。 俺の喉からはただ、掠れたような息を吐く音が出るだけだった。 「斉木?どした?」 「喉痛い?」 首を押さえて俯く俺に、心配そうに2人が尋ねる。 かも?と答えたい。 けれど辛うじて『か』が微かに聞こえるかどうかぐらいの発声。 「うがいでもしてくるか?」 数井がそう言って、2人も一緒に席を立ってきてくれ廊下へ出る。 「風邪でも引いた?」 歩きながら聞かれた言葉に、首を振りつつ出ないだろうなと思いながらも答える。 「わかんない」 「出てんじゃん!」 本当だ。出た。 自分でも驚きながら、おお!と井川と顔を見合わせる。 「ちょっと調子悪いのかもね。気をつけろよ」 数井がそう言う。 ありがと。と返して、ついでだから喉に潤いを!と自販機に寄る。 「ビタミンとっとく?」 オレンジジュースを井川に奢られ、数井もスポドリを買って渡してきた。 「ぬるくなって甘ったるくなったのを飲めばいい」 無駄に心配させやがって。と言う数井を井川がツンデレかよとからかう。
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