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元々、飛鳥が居る時の俺の口数は少ない。
リア充に緊張してんのかと井川がからかってきたりしていたから、今のもそんなもんだと思っているだろう。
俺もいつものが悪化したものだと、そう思った。
なのに再び3人で会話を再開させようとした時。
俺の喉からはただ、掠れたような息を吐く音が出るだけだった。
「斉木?どした?」
「喉痛い?」
首を押さえて俯く俺に、心配そうに2人が尋ねる。
かも?と答えたい。
けれど辛うじて『か』が微かに聞こえるかどうかぐらいの発声。
「うがいでもしてくるか?」
数井がそう言って、2人も一緒に席を立ってきてくれ廊下へ出る。
「風邪でも引いた?」
歩きながら聞かれた言葉に、首を振りつつ出ないだろうなと思いながらも答える。
「わかんない」
「出てんじゃん!」
本当だ。出た。
自分でも驚きながら、おお!と井川と顔を見合わせる。
「ちょっと調子悪いのかもね。気をつけろよ」
数井がそう言う。
ありがと。と返して、ついでだから喉に潤いを!と自販機に寄る。
「ビタミンとっとく?」
オレンジジュースを井川に奢られ、数井もスポドリを買って渡してきた。
「ぬるくなって甘ったるくなったのを飲めばいい」
無駄に心配させやがって。と言う数井を井川がツンデレかよとからかう。
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