第1章

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饒舌に、訳の分からない事を並べ立てる男を、母さんが見つめている。その視線は母さんのものじゃない。誰か知らない女のものだ。その女は、 「怒られるとは思ったんだけど、外に出ないお前がどうしても心配で」 だからこの人に相談したんだとか、何かよく分からない事を喋っている。 ああ、そうか、母さんはこの男に洗脳されたんだ。 それが分かったら、やる事は一つだ。 僕は男に突進した。突然の事にバランスを崩して男が倒れる。その上に伸し掛かり、男の胸に包丁を突き立てた。それに全体重を乗せる。 男は何が起こっているのか理解出来ないまま、蛙の拉げたような声を上げた。でもまだ死んでない。僕は深く刺さった包丁を引き抜くと、もう一度、同じ場所に降り下ろそうとした。でも、男が逃れようと動いたせいで、腹の辺りに刺さる。僕は気にせず、何度も同じ行動を繰り返した。
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