第1章

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最初は無視していた。ヘッドフォンを付けて、ボリューム最大で音楽を聴いて。 しかし今度は、匂いが邪魔を始めた。肉でも焼いてるのか、香ばしい匂いが部屋に充満する。それと同時に、空腹が僕を襲い始めた。美味しそうな匂いに、次第に空腹感が増し始める。こればかりはどうしようもなかった。 本物の神なら、空腹なんか感じないのに。 そんな事を考えながら、ドアの外に用意されている筈の食事を取りに行った。でもそこにあったのは紙切れ一枚。そこにはこんな事が書かれていた。 『お隣の引っ越し祝いに、どうしてもって誘われたから行ってきます。ご飯は台所に用意してるから、下りてきて食べてください』 なんなんだ、あのババア。息子の飯も持ってこずに、自分はお呼ばれか。 僕はその紙切れをビリビリと破ると、部屋に戻って布団に包まった。
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