第1章

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心臓が喉から飛び出しそうだ。耳の中では血の流れる音が、鼓膜を破りそうな程、大きく響いている。 僕はそこにしゃがみ込むと、心臓が落ち着くのを待った。浅く速い呼吸をリセットする為に、大きく息を吸う。そうするうちに、次第に心臓の音は小さくなり、胸の定められた場所に収まっていった。 それから再びゆっくりと、カーテンに向かう。次は本当に小さく、片目が覗く程度の隙間を作り、そこからあの女がいないかを確認した。誰もいない。他の窓も確認したが、どこにもこちらに向けられた視線はない。 そこまで確認して、漸く僕は、隣の家の庭を見下ろした。 そこではちょうど、男が片付けを始めたところだった。
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