第1章

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そう確信すると、僕は行動を起こした。隣家に行くのだ。 その前に。 ウインドブレーカーを着ると、台所に向かう。そこで包丁を手にすると、漸く玄関から足を踏み出した。 外に出るのは、いつ以来だろう。外の光は眩しく、隣の家での出来事など、何も無かったかのように世界に降り注いでいる。僕がこんな目にあっているのに、くそったれな太陽だ。 僕は光から逃れるように、急ぎ足で隣家の玄関に立つと、チャイムを鳴らした。僕の来訪を予想していたかのように、いや、予想していたのだろう。すぐにインターホンから女の声が応える。 名前を告げると、すぐに玄関が開いた。 あの女が、取って付けたかのような笑顔で、僕を迎えてくれた。そして、用件すら口にしてないのに、あっさりと招き入れる。 ゲームでもそうだ。入る時は何もなく入れる。問題はその後なんだ。
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