第二章 建設業界の闇

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   業界内では、そうした存在と噂されている。だがその実は、建築業界どころか裏社会のフィクサーなのか。  ならば、組対課や捜査二課が能見の子飼いの人間を。何かしらの犯罪行為により、マークしているかもしれない。  少々、子供じみた発想かもしれない。  矢次はそう思ったが、そもそも能見の噂話自体が、ドラマや小説の設定のよう。それを元に仮定すれば、自ずとそうした発想になってしまう。  だがそれこそ、矢次自身が北方に投げかけた「調べる価値はある」という言葉通り。組対課や二課に、確認してみる価値はある。  仮に、そうした人物が浮上しないとしても。 「矢次、行ってみるか」 「では、署に戻るのですか」 「いや、行くのは県警だ。その方が、広い範囲の情報が得られるだろ」  そう言った北方は、テーブル上の伝票を掴んでそのままレジへと向かう。  矢次は、それに続いた。      
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