第三章 ヒットマン

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   いよいよ、お声がかかったかと。二人は、千葉北署を飛び出して行く。  柿崎への伝言には、彼の待つ場所について明言されていなかった。ところが二人には、それで十分である。  この状況で、酒出が待つ「いつもの場所」と言えば一つしかない。  小料理屋【小路】である。  千葉北署のほど近く、四・五軒の飲み屋が並ぶ横丁。その路地の突き当たりにある、酒出の馴染みの店である。  女将と板前が、二人で切り盛りする小料理屋。それは、大事件や難事件が千葉北署管内で発生時に、酒出班の捜査本部の一つとなる。  船橋のサウナと同じような存在の場所。  署を出た二人は、徒歩で国道を横断し【小路】のある路地へと足を踏み入れる。どこか、昔懐かしい横丁の雰囲気を残した路地は、闇夜に仄かな明かりを灯している。  時間は、夜の八時前。営業している店は、どれも常連客でそれなりに賑わっているようである。
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