第三章 ヒットマン

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   酒口は、二人のやり取りの微妙な言い回しに混乱し。酒出と松本の顔を交互に見つめる。それは、酒に酔い始めているからとも言えよう。  何にしても、彼が口を挟む余地は無い。  ここ数件の事件において、酒出は事件の発生直後に和泉の関与を否定してきた。そして、それらの事件は確かにあの男の関与は無かった。  しかし今回、それを酒出の方から匂わす発言をする。  松本にしてみれば、それだけで和泉の関与の可能性は限りなく高く感じられてしまう。一方の酒口は、とにかく混乱状態の中。自分の頭でも、簡単に分かるようシンプルな答えを望んだ。 「それで、酒出さん。結局は、どうなんですか?」 「だから、そいつは判断すべき時じゃねぇと言っただろ。考えるべきは凍死体となった山田を、一体誰が殺ったかだろうが」 「まさか、酒出さん。もう、犯人が分かっちゃったんですか?」 「何で、そういう答えになるんだよ」
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