第三章 ヒットマン

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  「あぁ、県警の二課と組対課に情報を求めるなんざ。さすがに、北さんといったところだな」 「あの。警部補は、どこまで事件について。把握しておられるのですか」  今の酒出の口振りでは、能見の存在や葉北建設との関連まで。それら全てを、見越しているかのように聞こえた。  それが、五日間の単独捜査で掴んだ事なのか。  もしそうであるなら、何も松本たちを除外せずとも行えた。いやそれどころか、一緒に連れて行った方が効率的だった筈。  その真偽はともかく。松本のみならず酒口も、空白の五日間について知りたくて仕方が無い。 「菊乃ちゃん。俺は、そこまでこのヤマについて掴んじゃいねぇさ。ただ能見の存在は、県議会議員として知ってはいるがな」 「では、五日間で何を調べていたのですか。どうして、私たちを連れて行って頂けなかったのですか?」  それは、松本の悲痛な叫びであった。実際、叫んではいないのだが。
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