第三章 ヒットマン

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   酒出は、その圧力にたじろぎつつ。この五日間の事をゆっくりと語り出す。  彼が単独行動を取った訳は、特に何かしらの情報があった訳では無い。単独行動でなければならなかった理由も、説明する程の事では無い。  論理的な説明は出来ないが、そうした事は人間なら少なからずあるだろう。  酒出としても、それをオカルト的な意味合いで言ったわけでは無い。無論それが、愛や恋だと言うつもりも無い。  言うなれば、彼の勘が訴えかけた。 「まずは、一人で調べてみろと」  本件に、和泉 則之が関与しているかは分からない。それこそ単独行動を決めた時点では、事件の詳細すら掴んでいなかったのだから。  酒出としては、柿崎ならば二人を送り込むと読んでいた。  読み通り、酒口と松本は彼を探し当て事件について、その時点での詳細を報告してくれる。それを聞けば聞くほど、不可思議な事件と思わずにはいられなかった。
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