第三章 ヒットマン

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   おそらく捜査本部は、混乱はするもののセオリーに則り捜査を進める筈。  現場には、物証が残りづらい状況ながら、丹念に微細証拠まで拾い上げるだろう。同時進行で、被害者の人間関係から動機として怨恨の線で容疑者を絞り込みに入る筈。  絞り込まれた容疑者から、あのような特殊な殺害方法が可能な人間を当てはめる。  これにより、容疑者はことごとく消え去る事が予想された。  事件ノートによると、山田を殺害したいと思う人間は多数いるとか。しかしその実、彼への憎しみは逆恨みによるものが大半とか。  裏を返せば。逆恨み程度であそこまで、被害者への恨みを募らせた殺害方法を選ぶだろうか。  山田に文句の一つも言いに来て、突発的に殺害したか。衝動的に殺害したのなら話しは分かる。  しかし今回の事件は、準備を重ねた計画殺人だ。  積りに積もらせた、山田への恨みで犯行に及んだと見るべきだろう。
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