第三章 ヒットマン

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   逆恨みに関しては、酒出としても最初の話しを聞いた時点では推測していなかった。  だが、人一人が五十年程の人生を生きてきて。あそこまでの殺害方法で、殺されるなど滅多な事では無い。それ程の強い恨みが、今回の動機であれば容疑者など多数は存在し得ないとは思っていた。  結局、捜査本部は人間関係を調べ、参考人を絞り込もうとして足踏みていた。  無論、殺害方法の線でも捜査はしていたが。  酒口と松本の報告を五日前に聞き、酒出は単独行動でどこから調べたというのか。 「ガイシャの遺体は、生きたまま氷漬けにされ。おおよそ、一ヶ月間放置されていた訳だよな」 「はい。現場である四軒長屋の焼失状況から、火災捜査官も焼け残った床面積から、人間が一人氷漬けにされ放置されていた可能性が高いと」 「まぁ、あの場に一ヶ月あった訳じゃねぇだろうがな」  一ヶ月前といえば、十月の中旬という時期である。
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