第三章 ヒットマン

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   いくら夏も終わりを迎え、秋口になり涼しくなったとはいえ氷が溶けない筈が無い。  人一人を覆い尽くす氷となれば、溶け出せば相応の水が出る。ならば、現場周辺が水浸しとなり、不審に思った人間が遺体を発見してしまう。  よって氷漬けの遺体は、放火直前に置かれたと見るべきだ。  そしてこれは、かなり特殊な殺害方法である。  一般市民では、おいそれと行える方法では無い。それを行えるだけの施設と、一ヶ月間遺体を保管し、発見されない場所を有する人間でなければならない。 「お言葉ですが、警部補。それは先ほど、警部補も確認された通り。柿崎警視の指示で、県警の捜査員が調べています」 「それで該当する場所も、それを有する人間も見つかっちゃいねぇんだろ」 「はい……」 「人を氷漬けに出来る施設なんざ、県内にゴマンと存在するさ。だが、人目に付かず一ヶ月も保管出来る場所となりゃ、話しは別だろ」
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