第三章 ヒットマン

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   そこまでの人員は、捜査本部には配置されていない。  効率を重視し、工場稼働の確認だけとなってしまっても、仕方ないと酒出も思っている。  しかし、だからこそ調べるべきであろう。それが、酒出の言い分なのである。では、そこに何があるというのか。  酒出が検索によって画面に表示させたのは、市内にある五つの廃業した冷凍施設を有する工場であった。  確かに、工場内にまで捜査は行われていない。しかし稼働していなければ、どうあっても氷漬けの遺体を作り出す事も、保管する事も出来ない。  また管理者に気付かれずに、それらの工場を稼働させる事など不可能であろう。  通電するには、管理者から電力会社への連絡が不可欠となる。そのあたりの確認は、県警の捜査員とて抜かりは無い筈である。  だが酒出は、それに関し説明をしない。 「そこら辺りを調べてみりゃ。おのずと、色々分かるってもんだ」
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