第三章 ヒットマン

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   時間は、昼近くになっても酒出たちは署へとやって来ない。  そこで、残された三名の鑑識官の一人がボヤくように言った。 「しかし。酒出警部補たちは、相変わらずのマイペースだな」  野島 和利。  ボヤいたのは、鑑識官の野島である。この野島は、千葉北署の鑑識課の人間でありながら、県警のサイバー犯罪対策課から招集された。パソコンの扱いに関しては、サイバー課の人間にも引けを取らない。  いや、それ以上のスキルを有すると見られる。  度々話題にのぼる、元千葉県警の警視であった和泉 則之。この男は、サイバー犯罪対策課に席を置いていた事がある。そんな和泉が、県警のホストコンピュータにトラップを仕掛けた際。それを、解除して見せたのは彼である。  正午を回り、残された三人が店屋物の蕎麦で昼食を終えた頃、酒出たちはようやく署に顔を出した。  当然のように、三人漏れなく酒臭さを漂わせている。
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