第三章 ヒットマン

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   野島は、それすらもいつも通りと半分呆れて出迎えた。ところが、次の瞬間に酒出から信じられない一言を聞く事になる。 「そんじゃ、現場に行くとすっか」  酒出以外の五人は、彼が現場に出る事が極端に少ない事を知っている。それこそ、現場に出向くのは事件解決の直前くらい。  それ以外の時にも、現場に出た事はあった。  しかしこのように、捜査の初期段階で現場に出る事は一度たりとも無かった事。  お陰でその発言に、酒出班の二人ばかりか。野島を筆頭に、鑑識課三名も度肝を抜かれ驚いていた。 「さっ、酒出さん?」 「何だよ、ヒヨコ」 「今、何と言いました?」 「何度も、同じ事を言わせんじゃねぇよ。これから、現場に行くと言ってるんだ」 「えっ、じゃあ、もう事件は解決ですか」 「何で、そんな事になるんだよ」 「だって。いつもは解決直前にしか、現場に行かないじゃないですか」
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