第一章 凍死体

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             1    火災現場からの不審死体発見。  その一報により、千葉北警察署刑事課の面々が現場に到着したのは、午後の八時過ぎ。  十一月最初の週末。  日本屈指の大企業。唐橋物産の社員監禁強制就労事件が、ようやく彼らの手を離れて一週間余り。そのタイミングで、今度は不審死体発見の一報。 「しかも明日は、珍しく土曜日の非番だったというのに……」  そうボヤいたのは、同署刑事課の新米刑事であった。  酒口 孝也 巡査。  予定では、彼女の有実とデートする約束になっていた。しかし事件とあっては、非番は返上される事となろう。よって、デートは延期となってしまう。  現場に現着しても実の入らないのは、それが理由であった。  そんな酒口の後頭部を軽く叩く、美人の刑事がいた。捜査に集中するよう促したのは、彼とコンビを組む先輩刑事である。  松本 菊乃 巡査長。
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