第2章 養護施設

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 養護施設には初めて来たので、どの様な場所かは解らなかったが世間一般の施設とは違う事は幼い時分にも感じた。  養護施設には私より年齢が上の子しか居なかったが、施設の子供達とは仲良く成れた。  此の養護施設にだけ有る、お泊まりと言うものだ。  理不尽な理由で子供を亡くした親の元に亡くなった子供の友達として泊まりに行く事  泊まりに行って自分の親の事を話す、亡くなった子供の話しを聞くただそれだけなのに  赤の他人だけど親の愛情と言うものを知る、触れると言った感じの方が正しいのかな。  子供は親にとって換え難い存在で有り、掛け替えのない存在だと知り  心に空いた穴はそう簡単には、塞がりはしないし埋まりもしないだろう事を知り  養護施設に来たばかりの頃は、そんなお泊まりを何回か繰り返していたが  お泊まりに行かなく成って月日が経った頃に、あるドラマを見せられる。  ドラマの内容は養護施設で育ち成長して社会に出て成功するが  成功した子供の下に自分を捨てた親が来て人生を滅茶苦茶にされる。  養護施設の子供に言われる、「不安なら電話してみれば名刺を渡されただろ」  「まぁ電話をしなくても手紙が届くだろうし、君の母さんの事は直ぐに解るさ」
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