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…ピンポーン
「ハ~イ。」
ガチャッ
「こんにちは、
隣に越してきたものですけれども、
つまらないものですけどお召し上がりください。」
ガサッ
紙袋を強引に手渡される。
「では。」
ガチャッ
扉の向こうでは、
「愛想ね~な。」
と、
聞こえた。
そりゃ一言も返事をしていないから無理はない。
ここは(いわくつき)らしい。
都心の一等地、
月2万なんてあり得ない。
金額に魅了されて契約書にサインをした。
その時に注意された。
「毎日、
夕方6時に隣人が引っ越しの挨拶に来ますので、
扉を開けたら絶対に返事をしないでください。」
「はっ?
意味がわからないんですけど、
返事したらどうなるんですか?」
「…連れて行かれます。
大家が見たそうです。
誰もいないとこに返事していて、
翌日亡くなった方が何人かいらっしゃるみたいですよ。
やめますか?」
「いえ、
ここで。」
それからここで暮らしている。
あと約24時間後にはまた隣人が来るだろう。
何か入った手土産を持って…
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