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おばさんは僕が産まれる前に引っ越してきたんだって。
ママが言うにはおばさんの旦那さんは外国で働いていて、とても忙しいんだって。
帰ってきても、ジサボケとか言うので会ったことがないって言ってた。
ママはお姉ちゃんが生まれてから、なかなか僕が出来なくて悲しんでたんだって。おばさんが教えてくれた。
だから、お姉ちゃんとは10才離れてるんだ。
僕が子どもだから、やっと出来た子だからって、みんな僕に優しい。
僕は事故にあってから、自由に空を飛べるようになって、いろんなところに思ったようにすり抜けられる体になったんだ。
すごいでしょ?
おばさんはとっても優しくて、ママとも仲良しだった。うちのお庭と隣の低い塀の間でよくお喋りしてた。
おばさんちのお庭は少し奥にあって、物置の陰になるから、うちからは見えないけど、たまに秋とか春にはバラのいい匂いがしてくるんだ。おばさんはバラが大好きだから、僕の家にもよく分けてくれた。
おばさんには子供が居なくて、僕が生まれたときからかわいがってくれてるってママが言ってた。僕も、おばさんが作ったケーキとかクッキーとかいつも貰ってた。とってもおいしいんだ。
だけどおばさんは悪い人だったんだ。
少し前に、僕は家族に捨てられたみたいだ。
「ひとりで生きていきなさい」ってお手紙があったんだ。
僕が学校から帰る前に、ママ達は僕置いて居なくなって、おばさんが泥棒に入ってママやパパのお洋服持っていっちゃったんだ。
みんなに知らせなきゃって、あちこち探したんだけど見つからなくて……。
また、お隣のおばさんのお家に戻ってきちゃった。
おばさんに僕は見えないみたい。
でも何でだろう、ママのお洋服とかおばさんはお庭に埋めてた。
どうして埋めちゃうんだろう?おばさん欲しかったから盗ったはずなのに……。
―――ママのお気に入りのお洋服。泥だらけでかわいそうだ。いらないんだったら盗らなきゃよかったのに。
ママ達どこに行ったんだろう。『いちおくえん』があったから、もうお洋服とかいらなかったのかな?だって、僕もいらなくなっちゃったんだもんね。
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