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とっても悲しくなってきた、置いていかれて探してもいなくて僕よりもお金が大事だったんだ。ひどいよ!
僕が泣いてても、おばさんには見えないんだね。
転んだ時みたいに痛いの飛んでけ!もしてくれないんだね。
おばさんのケーキ食べたいな。僕捨てられた子だから。
……僕、寂しいよ。
ママ達が居なくなって、僕の『おそうしき』って言うのが終わってからママ達を探して戻ってきてから、もうどの位たったかな?
おばさんの庭にバラが咲いてる。ちょっと前まで黄色や赤やピンクのバラがたくさんだったのに、今はちょっとしかない。
「もう終わりね。あとは冬越さないと。まぁ今年は栄養が違うから来年の春には、もっといい花が咲くかもしれないわね」
おばさんが嬉しそうだ。お花大好きだもんね。きれいなお花咲くと良いね。僕も楽しみだよ。ねぇ、おばさん。僕に気が付いてよ。
泥棒したこと怒ったりしないし、ママ達に言ったりしないから。
――ピンポ-ン
おばさんがインターフォンの画面を見てる。お巡りさんだ。
そういえばお巡りさんは良く来るな。パトロールとかで回ってますって言ってた。
僕も玄関におばさんを追いかけていった。
「お変わりないですか?」
「ないわよ!あんまりちょくちょく来すぎよ!」
「大丈夫ですよ。お向かいとかにも顔出ししてますから」
お巡りさんがククッと笑った気がする。何か気持ち悪いな。
「例のアレもっと深く埋めたほうが良いかと思うんですがね……」
そう言うともっと気持ち悪い顔になった。
「大丈夫よ。うちの庭なんだから、見えやしないわ」
「そうですか~?先生がね。あぁ、学校の。明日からすごい雨だって土が流れたら見えちゃうんじゃないかって心配して電話を寄越したんですよ」
「まったくビビりな先生ね~。じゃあ、お巡りさんの交番の裏は大丈夫なの?雨とか」
「実は、僕と先生はある場所を見つけましてね。そこに2人を埋め直そうと思ってたんです。先生のところは押し入れだし臭うでしょう?僕も異動になったら困るしね。奥さんはどうします?」
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