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おばさんは、お巡りさんと何を埋めたの?おばさんの得意なバラ?でも、押入れにバラは植えないか……。
おばさんは目がギラギラとして、腕組みをして考えてる。
僕が2人の間に挟まって聞いてるの気が付かないんだよね。
「ねえ、私のところひとつ増えても良いかしら?そのくらい広さある?もう軽いと思うけど掘ってみないとわからないんだけど」
ニヤッとおばさんも気持ち悪い顔して笑ってる。
「ありますよ」
2人ともニヤニヤして怖い……。
「明後日、大雨になるって言うんで、今夜か明日に埋める予定です。奥さん1人で車に積めないですよね?先生に予定聞いて一緒にしますか?」
「お願いするわ。これで庭がきれいになるわ」
また、お巡りさんはククッと喉を鳴らして、玄関のドアを開けて外に出ると敬礼ってのをして帰っていった。
夕方、電話が掛かってきて今日の夜、どうするこうするって良くわからない相談をしてた。電話を切るとおばさんは軍手をはめて、物置から大きなシャベルと、青い大きなビニールシートを出して、大事なバラの根元を掘り出したんだ。
すると……すぐにママのお洋服が出てきた。
大好きだって言ってたオレンジ色のお花のスカーフ。パパからのプレゼントのワンピース。それから入学式に来たお洋服も……。
『おばさん?何してるの?』
聞いたって答えるわけなんてないのは、ここに帰ってきてから何度も試した。だからわかってる。
けど……おばさんがおばさんじゃないんだもん。とっても怖い。曇ってきた空をおばさんが見上げておでこの汗を腕で拭う。
土の中から、ママのお洋服とかお姉ちゃんのお洋服もあった、パパのも……。それを、ドサドサと庭の土の上に投げていく。
――――怖い――――
『おばさん!どうしたの?怖いよ。もうやめなよ!』
叫んでも叫んでも、おばさんは必死になって大事なバラのつるが張り巡らされた庭を掘ってる、時々周りを見渡しては、掘る。
《ガツッ》
──何かに当たった音がした。
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