お隣のおばさん

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 おばさん達は、工事現場の人が使うような小さいトラックにミノムシを乗せていく。  上から見ると、ミノムシは3つある。  みんな、黒いレインコートを着てる。さっきより雨が強くなった。 ――どこに持ってくんだろう?どうして1個増えてるの?  おばさんはママ達のドロドロの服もゴミ袋に入れて、そのトラックに乗った。運転手はお巡りさんだ。その前を、別の車が案内するみたいに走り出した。 ――――追いかけなきゃ!!  雨も風も強くなる。前の体だったら怖くて入れないような森を抜けると、鉄で囲まれた広い工事現場に出た。  ショベルカーが置いてあるところに、車が停まった。  さっきおばさんが掘った穴より何倍も大きな穴が開いている。その上をぐるりと見て回ると、中に雨のせいかな?水が溜まっている。  3人は、重そうにそのミノムシをひとつずつその穴に投げ込んでいく。泥水は思ったより深いみたいで、ミノムシは沈んでいく。  今度は先を走っていた車の中から今度は僕の家にあったものに良く似た旅行で使う大きなガラガラ引くやつが降ろされた。  その時何かがひっかかったて落ちた。お姉ちゃんの学校の制服のリボンだ。車の下に落ちてる。  誰も気が付かない……。  コレも試しに触ると拾えた。コレも大事にポケットにしまった。  おばさんがママの服が入ったゴミ袋を、慌てて持ってきた。 「これこれ!これも一緒に埋めたいのよ!!」  旅行のガラガラ。ゴミになったママ達の洋服。すべるように穴に吸い込まれていった。  おばさんたちは、レインコートを着ているけどずぶ濡れだ。  最後にトラックをこの穴に落とすつもりらしい。  3人でトラックを押し始めた。  笑ってるようにも見える――――けど、  おばさん、お巡りさん、先生の顔は―――――― 《同じ顔》だった。昔ゲームで見た死なないゾンビみたいで……。  怖くて、怖くてふわりと浮きながら僕は遠くへと離れた時。 《ズッズズズズズッッッ!!ガシャーン!》  僕は怖くて耳を塞いだ。  その隙間から悲鳴と叫び声が聞こえた。  「「「ぎゃぁぁぁぁ!!」」」  振り返ると、3人がいない?!  恐る恐る戻ってみると、穴の中に小さなトラックとクレーン車。それに挟まれた3人の姿だった。
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