第二章 相思花を君に

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「私は、寂しいです。残されるのは」と言う加賀見は子供の様に甘えたに見える。 美鈴は「はい、拓海さんと結婚したら、会社は辞めますよ」と言うと微笑んでいる。 美鈴と加賀見は一緒に家を出ると美鈴は会社へ、加賀見は自分の家に帰る。 朝帰りの加賀見は、そのままアトリエに入ると曼珠沙華と美鈴を描き始めた。 朝の光の入るアトリエで美鈴のことを想いながら、だが今日の加賀見は幸福感で一杯だった。 婚約指輪を渡せたこともその一つだが、来年になれば結婚式を挙げる事が出来るからだ。 そのころ美鈴は会社で清美と話していた。 「清美昨夜も熱かったのね。お疲れさま」と声をかける。 清美は 「うん、でも月曜日からはもういないなんて寂しいなあ。休みには会いに来てくれるって言ってくれたの。それにね。これ見て」と言う清美の左の薬指にはダイヤの指輪が光っていた。 美鈴は「これ、婚約指輪なんじゃないの。おめでとう」と言うと笑顔になる。
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