第一章 曼珠沙華の出会い

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基樹もテレビを見てくつろいでいる。 その時。玄関のチャイムが鳴る。「ピンポーン」 美鈴は、「誰かしら、基樹、出てちょうだい。」とキッチンより声をかけるが基樹は「いやだよ。姉貴が出ればいいだろ。」と言って動こうとしない。 仕方なく美鈴は玄関に向かい声をかける。 「はいどちら様ですか。」美鈴の声に相手の人が声をかけてくる。 「夜分遅くにすいません。あの隣に引っ越してきたものなのですが。ご挨拶に寄らせていただきました。」と言っている。 お隣さんだ。美鈴は慌てて玄関のドアを開けた。 そして、驚いた。目の前にいるのは神社の曼珠沙華の所であった加賀見だった。 美鈴は「あ、あの、隣に引っ越してきたのって加賀見さんだったんですか。」 加賀見も驚いた顔をして「そうなんですよ。今日引っ越してきたばかりでとりあえずはごあいさつ回りをしているんですよ。こちらが最後でして。」と言うと笑っている。 美鈴もつられて微笑む。「本当に奇遇ですね。お隣に引っ越してくるなんて。」 「ええ本当に奇遇ですよ。美鈴さんのお隣なんてとても嬉しいですよ。」と言うと、定番の引っ越しそばを手渡す。
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