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加賀見は画家と言う職業柄、記憶力はとても良い。
美鈴の仕草や顔の輪郭容姿まで頭の記憶の中にいれている。
白いキャンパスがやがて、曼珠沙華と美鈴の姿で埋められていく。
今は下書きの段階だが、それが済めば、色を付けていく。
明日は、美鈴がモデルとしてやってくる。
それを想うと自然と顔がゆるんでくる。
今日は興奮して眠れそうにない加賀見だった。
加賀見がアトリエとして使っている部屋の窓は大きくて、前にデッキが作られている。絵を描く手を休めて片手にコーヒーを持つ加賀見は部屋の大きな窓よりウッドデッキへと出ると空には綺麗な月が出ていた。
明日は満月、今日よりもさらに美しい姿を見せてくれるだろう。
加賀見は美しい月を眺めながらゆっくりとコーヒーを味わっていた。
そして隣には美鈴がいる。デッキから見える二階の窓に人影が写っていた。
加賀見は、誰だろうとみていたが、身体の線が女性だった。
多分美鈴だろうと思った。
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