第一章 曼珠沙華の出会い

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「あのう。すいません。お伺いしたいのですが。この近くに住んでいる人でしょうか。」と言われた美鈴は、 「ええ、近くと言えば近くですけど。何か。」と答える。 相手の男性は、頬を赤らめながら、 「いやあ、僕も今日引っ越してきたばかりでね。この氏神様にご挨拶に伺ったんですよ。その帰りに、曼珠沙華のように美しい人に出会ったものですから、少しお話しでもと思いまして、声をかけたのです。ぶしつけでしたか。初対面なのにすいませんね。」と言うと笑っている。 美鈴は、相手の男性の笑顔に惹かれる様に頬を少し赤く染めている。 しばらく美鈴は考えていた。 その間相手の男性は黙って待っていた。 美鈴は、赤い曼珠沙華の華を見た後相手の男性を見つめながらいう。 「あの、少しならいいですけど。」と短く答える。 引越ししてきたのなら、ここら辺の事を聞きたいのだろうと思ったのだ。 男性は、近くの喫茶店に美鈴を誘う。 「よかった。あのうあそこの喫茶店に入りませんか。あそこでゆっくりとあなたとお話しがしたいのです。」と言うと、微笑む。
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