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「え?」
考えるよりも先に「え?」が出た。
だっていまこの人『殺人鬼です』って……。
いや待てよ。
そんなわけないだろ。オレのバカ。
あれ、名前を言ってたんじゃないのか……。
殺人鬼……さつじんき……かつじゅんき……『勝 潤樹』!
そうだ! 勝さんだったんだ!
全くもう。オレって早とちりなんだからぁ。
殺人鬼なわけないじゃないかっつーの。
万が一、殺人鬼だっとしても自分で『殺人鬼です』なんて言うはずないっつーの。
ほらもう。勝さん、こっち見てるから。
絶句しちゃったもんだから、何事かってこっち見てるから。
「すみません。ちょっと考え事しちゃってて……えっと、勝さんでしたっけ?」
「いや、殺人鬼です」
勝さん……じゃなくてその彼は、はっきりくっきりと紛れも無く『殺人鬼』と言った。
この日から、"殺人鬼の隣人"としての生活が始まった。
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