出会い

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出会い

 僕の名前は松原優一と言う。  この春、地元の大学を卒業し、就職の為にこの町に越して来たばかりだ。  就職先は鷹崎セキュリティと言う日本一の社員数を誇る警備会社だ。  と言うか、今や日本を支配していると言っても決して言い過ぎでは無い、鷹崎グループのグループ企業の一つである。  就職が決まった時には『優一はやっぱり優しいコだねぇ。良かった良かった。』と、お祖母ちゃんが随分喜んでくれたものだった。  僕が優しいかどうかは別にして、高校~大学と続けて来た柔道のおかげで、体力だけは人並み以上にあるつもりだが、むしろそれしか取り柄の無い僕が、よくも超大企業に就職出来たものだと、僕自身も嬉しく思った事は間違いない事だった。  まぁ警備会社だし・・・体力だけをアテにされたんだろうな・・・そんな事を考えていたが、まさかあんな事がきっかけで、こんな事になるとは、正に夢にも思っていなかった。  この先、僕はこのまま驚愕と劣等感に、ずっと苛まれ続けなければならないのかと思うと軽く・・・いや、酷く憂鬱になるのだが・・・  とにもかくにも【彼】との出会いから語りたいと思う。
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