第1章

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 いつぞやのように、番組の途中で臨時ニュースの特番が入った。  今度は食中毒の被害者が病院に搬入されたという内容だったが、やはりこのニュースも、臨時で差し込まれる程の規模ではなかった。ただ、被害者の名前がまたしても俺の友人の一人と同じで、さすがにこの時は単なる同姓同名だとは思えず、何かよからぬ予感を覚えた。  その不吉な感覚はあっさりと的中した。  親類のお裾分けの山菜に当たり、友人一家が入院することになったのだ。  ニュースの内容と同じく、死者は出なかったが、友人が入院レベルの食中毒になったことは事実だ。それだけでも薄気味が悪かったが、何よりも、翌日以降にあれこれ聞いたところ、同じ番組を録画で見ていた他の誰に聞いても、こんな特別報道のニュースなどなかったと言われたことに俺はひたすら慄いた。  あれからさらに数ヶ月。昨夜俺が録画したドラマは途中で途切れ、そこからは特別報道のニュース番組に切り変わった。  内容は、火災による民家の全焼事件で、前二つと違い、今度は被害者が亡くなるというものだった。  ちなみに、その被害者の名前は、名前は……。  申し訳ないが、じきに起きるこの火事の被害者が、同姓同名の誰かであってくれ。  朝に夕にそう考えながら、俺は翌日以降を過ごしている。 臨時ニュース…完
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