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閉館した数学図書館だけに、暖房をつけることはできないし、暖房機器を持ち込むことも難しいだろう。
締め切られた部屋だから、冷たい風が外から入ってくるわけではないけれど、冬になればこの部屋もかなり冷え込みそうな予感がする。
今は小さくて薄いブランケットだけど、そのうち分厚くて大きな毛布を用意しそうだなっと思い、その向井の姿を想像してみた。
また笑いがこみ上げた。
「お前、笑うために来たのか。勉強しろ、勉強」
向井がいい加減にしろよと言った目でこっちを睨んだ。
さすがに気分を損ねたらしい。
「……わかってるわよ」
いつかネタにする時のために携帯で写真を撮ってしまおうかと考えていたけれど、諦めた。
仕方なく、荷物から勉強道具を取り出し、椅子に座る。
すると向井が座っていた椅子を引きずりながら、近づいてくる。
そして、真歩の横にぴったりと椅子を付けて、何事もなかったようにそこに座った。
広いテーブルの一箇所にバッカプルのように固まって座る2人の図が出来上がる。
な、なんで、隣に来るのよ…。
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