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向井に強制的に数式を記憶させられたせいで、日々解かされる問題の理解が早くなっていた。
勉強しなければならない科目はたくさんあるとはいえ、関連性がまったくないわけでない。
他の科目の勉強も最近は思いのほかスムーズだった。
また悔しいことに、向井の説明は本当に分かりやすい。
何で躓いているのかもすぐに突き止めてくれるから、問題を解釈するのも楽だった。
それに、もともと数学や物理が嫌いなわけではないけれど、数学好きの向井の説明は何気に楽しかった。
教えるのが好きではないと向井は言っていたけれど、教えること自体は実は向いているのではないかと思ってしまう。
教師はまず、生徒を数学や物理好きにすれば事足りる。
好きになれば、生徒は興味を持って勉強するはずだから。
そういう意味では、向井は適任なのではないか。
ついにこの男を教師として認めてしまったと思ったけれど、ここまで勉強を教えられているのだから、そこに反論するのも違う気がした。
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