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するとどこからか足音が聞こえてきて、真歩は暗がりの方に目をやった。
足元を照らす灯りしかないせいで、人影は見えるけれど、誰だかは分からない。
目を凝らしてその人影を見ると、ある程度近づいてきたところで、それが向井だと分かった。
なんだ、帰ったんじゃなかったんだ。
心なしかほっとしてしまう。
自分ではどうにもできないけれど、向井ならどうにかできるかもしれない。
向井は大きな袋を担いでいて、真歩に近づいて来た。
「閉まったか……」
向井は裏通用門を見て呟いた。
「……くしゅんっ」
寝起きだったからか、身体が冷えていたようで、真歩はくしゃみが出てしまった。
寒気を感じ、身震いする。
「とりあえず、図書館に戻るか」
向井が歩き出したので、真歩も着いて行くしかなかった。
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