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再び戻ってきてしまった談話室。
真歩は荷物を抱えたまま、入口付近に立ち尽くす。
「冷えるから、とりあえず奥に入れ」
「ねぇ。警備員にお願いしたら、門を開けて貰えないの?」
「無理だ。正門が6時には開くから、それまで待つしかない」
頼みの綱にも見放された。
結局、そうするしかないのか。
真歩は談話室の時計を見る。
24時13分。
数十分早く目が覚めれば、帰れたのに‥‥。
帰ることはできないとなると、今日はこの談話室に泊まるしかないの?
しかも朝まで、向井と2人きり……。
「寝るか」
「ね、寝る!?」
向井の突然の提案に思わず大きな声を出してしまった。
寝るってまさか……。
思いっきり向井を怪訝な目で見てしまう。
向井は苦笑いした。
「俺はこの椅子で寝るから、お前はそのソファ使え。勘違いするな」
「………っ」
自分がそうなることを望んでいたかのようで、変に恥ずかしい。
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