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勘違いなんてしていないと言い返したかったけれど、不埒な心配をしてしまったのは事実。
最近の向井との身体の距離の近さに戸惑っていただけに、勘繰ってしまった。
いや!
でも決して期待しているわけじゃないんだから!
真歩は気まずさを隠すように下を向いたまま、ソファに座る。
向井は担いでいた大きな袋を床に下ろすと、重たそうに中身を引っ張る。
中からは大きな毛布が出てきた。
「その毛布どうしたの?」
いつか大きな毛布をこの談話室で見る日が来るだろうと思っていたけれど、今日だとは思わなかった。
「お前がうたた寝してたから、研究室から持ってきた」
「え?」
私のため?
もしかして、さっき居なかったのはそのせい?
「まあ、予定外なことにはなったが、丁度良い。この毛布使え」
向井がソファに座る真歩の頭にバサっと毛布を掛けた。
「うわっ」
視界が毛布で遮られ、毛布から顔を出そうともがいていると、「明かり消すぞ」と向井の声が聞こえた。
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