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真歩はソファから立ち上がると、テーブルの上にあるリュックに近づき、携帯電話を取り出す。
アラームと表示された画面をスライドした。
時計は7時を指していた。
アラーム画面が消えると、メールの着信を知らせる。
『差出人:向井
本文:用事があるから、先に出る。
図書館は今日1日閉館だから、好きな時間に出ればいい。
毛布も置きっ放しでいい』
真歩は携帯を閉じた。
メール文に促されて、否応でもさっきまで寝ていたソファと毛布に目がいく。
「…………」
後ろから抱きしめられた腕の感触が呼び起こされた。
ふわふわした体温の温かさまで思い出して、恥ずかしさが込み上げる。
昨晩、あの男と添い寝してしまったんだった。
しかも、疲れていたとはいえ、あの男の腕の中で熟睡してしまった。
真歩は昨晩の自分の迂闊さを受け止めきれずに立ち尽くす。
でも……。
認めたくはないけれど……。
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