優しさ ∝ 気持ちの変化

22/22

3264人が本棚に入れています
本棚に追加
/575ページ
すごく心地良かった。 あの男の腕の中は落ち着いた。 真歩は向井の温もりにまた包まれたいような変な気分になって、自分の肩を掴んだ。 いや、気のせいだ。 あの男にまた抱きしめて欲しいなんて、思うわけがない。 その感情を遠くに追いやろうと頭をふる。 寒がりのあの男に仮を作りたくなかっただけ。 昨晩はたまたま寒かったから、あの男を気の毒に思っただけ。 そして、たまたま温かくて気持ち良かったから、寝ぼけた頭が余韻に浸っているだけだ。 真歩は表しようがない気持ちの変化に気付きたくなくて、慌てて毛布を傍に置いてあった袋に詰めると、急いで図書館を後にした。
/575ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3264人が本棚に入れています
本棚に追加