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すごく心地良かった。
あの男の腕の中は落ち着いた。
真歩は向井の温もりにまた包まれたいような変な気分になって、自分の肩を掴んだ。
いや、気のせいだ。
あの男にまた抱きしめて欲しいなんて、思うわけがない。
その感情を遠くに追いやろうと頭をふる。
寒がりのあの男に仮を作りたくなかっただけ。
昨晩はたまたま寒かったから、あの男を気の毒に思っただけ。
そして、たまたま温かくて気持ち良かったから、寝ぼけた頭が余韻に浸っているだけだ。
真歩は表しようがない気持ちの変化に気付きたくなくて、慌てて毛布を傍に置いてあった袋に詰めると、急いで図書館を後にした。
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