不意打ち ≒ 本音を映す

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夜空は大気が透き通り、煌めきだす星をクリアにする。 身体を取り巻く空気は寒さを増し、吐く息で白く霞む。 駅前の商店街はイルミネーションが装飾され、赤い服を着たキャラクターたちが増えてきた。 オーディションで踊ることになっているダンスは一通りステップを流して踊れるようにはなっていた。 でも、まだまだ下手で。 緊張したら、余計に踊れなくなることを考えれば、音楽が流れた時は無意識に身体が動いてしまうくらいに覚えこませたい。 そして、すべてのステップが切れ味よく決まるように、一つ一つ見直そう。 向井との勉強も一通り必要な科目は復習し終わった。 でも、まだ完全に理解しきれていないところがあるから、よりおさらいをしよう。 真歩は年明けを待ち望んでいる街中を眺めながら、ふぅーと深呼吸した。 腕時計の針は21時38分。 真歩は裏通用門を抜け、いつもどおり数学図書館の窓を開けた。 でも、すぐに違和感があった。 いつも聞こえてくるはずの向井の声が聞こえなかったから。
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