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テーブルに勉強道具を広げ、椅子に腰掛ける。
一人きりの静かな談話室。
真歩は早くも腑抜けた気分になっていた。
別に向井が隣に居ても居なくても、問題は解くことができるはずだ。
本来なら1人学習するのが普通だと思う。
だから、今ここで1人、勉強すればいいだけのことなのに……。
何故か、落ち着かない。
心もとない。
携帯電話を取り出し、開いてみた。
画面にメールの着信通知は入っていなかった。
「……なんで、あの男からのメールなんて、期待してるんだろう」
嫌気がして、慌てて携帯を閉じた。
真歩は今まで、向井にメールを入れたことが一度もなかった。
向井からはメールが週2回程度送られてくるが、どれも一方的な指示ばかりだったので、返信したことはない。
毎回「分かりました」だけ返事するのも嫌だったし、さして他愛ない内容を入れるのも変だと思った。
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