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「とりあえず、勉強しよう」
真歩は気を取り直して、勉強をし始めた。
でも、それは十分と持たなかった。
問題を一問解くたびに、いつも向井が座っている椅子を気付くと眺めてしまっている。
向井がいない理由が気になって仕方なかった。
あの男がいない方がせいせいするはずなのに、なんでこんなにも気になるの?
携帯電話をまた開き、画面を見ていた。
メールが着信しているわけがない。
だって着信音が一度も鳴っていないのだから。
分かっているくせに、見てしまった自分に苦笑いした。
そんなことを数十分置きに続けながらだったので、普段よりも問題の捗りがすこぶる悪かった。
1時間経過した時は、もう限界で……。
真歩は携帯画面を開き、メールを打つ。
送信ボタンを押した瞬間、ガラっと窓の開く音がした。
あ‥‥‥。
まさか、このタイミング‥‥‥‥。
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