不意打ち ≒ 本音を映す

6/25

3264人が本棚に入れています
本棚に追加
/575ページ
窓を見ると、向井がカーテンをよけて中に入ってきて、向井の方から「トゥーン」と小さく携帯の着信を知らせる音がなる。 やっぱり‥‥‥。 向井は窓を締めながら、携帯画面を見て、その後、ふっと鼻で笑って、真歩を見た。 「俺がいなくて、寂しかった?」 向井の第一声に身体の温度が一気に上昇した。 「そ、そ、そんな……」 そんなわけがないと言い返したかったけれど、この火照った顔で言っても、余計突っ込まれる気がして、途中で口をつぐむ。 まさか目の前でメールを見られると思っていなかっただけに、余計に恥ずかしい。 このタイミングで来るのなら、メールなんか入れなきゃよかった。 向井はコートを脱ぎ、ソファに置くと、真歩の座っているテーブルに近づく。 「ちょっと急用ができたんだ」 「え?」 「それがメールの返事」 「そう……」 「でも、驚いた。 お前は俺がいない方が嬉しいのかと思ってた」 「え?」
/575ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3264人が本棚に入れています
本棚に追加