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窓を見ると、向井がカーテンをよけて中に入ってきて、向井の方から「トゥーン」と小さく携帯の着信を知らせる音がなる。
やっぱり‥‥‥。
向井は窓を締めながら、携帯画面を見て、その後、ふっと鼻で笑って、真歩を見た。
「俺がいなくて、寂しかった?」
向井の第一声に身体の温度が一気に上昇した。
「そ、そ、そんな……」
そんなわけがないと言い返したかったけれど、この火照った顔で言っても、余計突っ込まれる気がして、途中で口をつぐむ。
まさか目の前でメールを見られると思っていなかっただけに、余計に恥ずかしい。
このタイミングで来るのなら、メールなんか入れなきゃよかった。
向井はコートを脱ぎ、ソファに置くと、真歩の座っているテーブルに近づく。
「ちょっと急用ができたんだ」
「え?」
「それがメールの返事」
「そう……」
「でも、驚いた。 お前は俺がいない方が嬉しいのかと思ってた」
「え?」
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