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「だって、俺のこと、嫌いだろう?」
「‥‥‥‥‥‥」
返す言葉が見つからない。
なんで、そんなこと知ってるんだろう。
そりゃ、よく食堂で由依に「嫌いだ」と言っていたけれど、まさか聞かれていたのだろうか。
「それなのに、お前から『どうしていないんですか?』なんて、言われるとは思わなかった。
しかも、初めてメールくれた」
向井は意地悪そうに笑って、真歩の顔を覗き込む。
「俺のこと好きになった?」
な、な、な…。
「な、な、なんでそうなるんですか!!」
「動揺しすぎ」
向井はまたふっと鼻で笑って、真歩を見た。
これじゃ、向井を好きですって勘違いされているみたいじゃないか。
有り得ない、有り得ない!
「き、嫌いです!」
否定しようと、咄嗟にそう言ってしまった。
向井はすぐに無表情になった。
その表情の変化に、チクっと胸に細い針が刺さった気がした。
もしかして‥‥‥、傷つけた‥‥‥?
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