不意打ち ≒ 本音を映す

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※ 翌朝、真歩は大学の午前一限目の講義が始まる前にM数学研究室の前に立っていた。 今回は向井に呼び出されたわけではない。 自分の意志でここに立っている。 あんなに近づかないようにしていたM数学研究室に自分から足を運ぶ日が来るなんて思っていなかったのに。 でも今日ばかりは仕方がないのだ。 何しろ、昨晩はその後も動揺してしまって、談話室で拾った鍵のことを向井に聞くのを忘れてしまっていたのだから。 人生3度目、M数学教室をノックする。 「はーい。どうぞー」 また予定外の声がした。 この声はあのにこにこ笑顔の彼だろう。 「失礼します」 真歩は研究室のドアを開け、中に入る。 「あ、来年M研入会予定の君!」 「い、いや。だから、そんな予定はないんです‥‥‥」 「僕、本当楽しみにしてるんだ。早く来年にならないかなぁ」 やっぱりこちらの話は完全にスルーだ。 真歩は苦笑いするしかない。 「あの…。 向井……先生は?」 「まだ来てないよ。もうすぐ来ると思うから、座って待ってなよ」 「はい。すみません」 木戸に示された椅子に真歩は近づき、座る。 そして、研究室の中を眺めた。
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