不意打ち ≒ 本音を映す

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窓のない壁は一面が本棚。 本棚には当たり前だけど、数学書がびっしり納まっている。 日本語以外にも何か国語の表題が並び、薄い本から分厚い本まで、いろいろな本が並んでいた。 デスクが二組ずつ並べられ、計8つ。それぞれのデスクにデスクトップパソコンが配置されている。 向井がいつも座っている席には、あのノルディック柄のブランケットが置かれていて、あの可愛いと思ってしまった姿を思い出して笑いそうになる。 「君、神崎って呼ばれてたよね?  名前は真歩さんでいいの?」 突然、木戸に話しかけられて、真歩は笑いを隠すために、コホンと咳払いしてしまう。 なんで、木戸は名前を知っているのだろう? 「はい、そうですけど‥‥」 「やっぱりそっか。  向井先生の机に、君の成績資料があったから、もしかしたらっと思ってさ」 成績資料って、こないだの赤点の‥‥‥? 「成績見たんですか?」 「え? あ、うん」 「‥‥‥お恥ずかしい成績で」 学年最下位に近いあの成績を見られたなんて、顔も見せられない。 俯くしかない。
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